やまいもの投資

風見鶏トレーダーの株式投資日記

投資方法の分類①


前回議論した株価の構成要素を元に、投資方法の分類を行いたい。結論から言うと、どこに力点をがあるかによって以下のように分類される。

 

f:id:yamaimo-toshi:20180715171353p:plain

まずは、主に業績に力点が置かれた投資法である、資産バリュー株、割安成長株、グローズ株、バフェット株を見ていく。


①資産バリュー株

これは、資産に対して時価総額が過小評価されている株に投資する投資法である。
一般には、PBRが使われる指標であると言われるが、これは正しくはないのではないかと思う。


資産は、キャッシュを生むとは限らない。使われていない設備を買っても、それは資産であり、使われていないかもしれないけど、資産がたくさんあるから、すごいでしょといっても説得力はない。

それをいうなら、ネットキャッシュ(=現金+有価証券-負債総額)が時価総額上回ってますけど、だったら、まだ話はわかる。なぜなら、100億のネットキャッシュを持っていて、時価総額が50億の会社買収して、現金だけ召し上げてしまえばよいのだから。

こういった会社は、現金をもっているのだから、増配や自社株買いなどが期待できるわけだが、こういったカタリストがあると、一気にあがることがある。しかし、平時は特にニュースもなく、業績も横ばいであることが多く、退屈である。また、カタリストがないと、永遠に忘れ去られたままになるので、資金効率は悪くなりがちである。

ただし、下値が一般には固いことが多いので、怪我がすくないとは言われている。

なお、利確のタイミングは、カタリストの発現によりスルスルと株価があがってきたタイミングである。

 

②割安成長株

これは、現在成長している、または、これから成長するであろう株に投資して、業績(売上、利益)の成長と、それに伴うPERの水準訂正をダブルで享受する投資法である。
 
一般に、業績の成長が加速すると、それにともないPERも上昇する傾向がるので、成長のとば口で投資できると、かなり大きなリターンを得られることになる。
 
例えば、これまで成長していない企業のPERが10であるとして、この段階で投資したとする。そして、その後、この企業の成長率が20%となり、PERは20になったとする。
 
そうすると、
 
利益:1.2倍、PER:2倍となるので、株価は計算上2.4倍となる。
利益は1.2倍になっただけなのに、株価は2.4倍である。
 
こうしたことがよく起こるため比較的優位性のある投資方法である。
 
しかし、成長が減速するような銘柄に投資してしまうと、PERは成長の減速にそって下がるため損失が大きく拡大する。
 
また、この投資法は企業の成長にベットしているわけなので、比較的時間軸は長めになる。(企業が成長するには一定程度の時間が必要なので)
 
この投資法の利確のタイミングは、PERが上昇し、割安がなくなったときである。あくまでも、成長と割安にベットしているわけなので、割安がなくなったとき、保有する根拠を失うのである。もう一つ、投資を終えるタイミングは、成長が鈍化したときである。
 
主に使う指標は、主にPERとPEGレシオである。
 

③グローズ株(アマゾン型、ビジョナリー投資)

これは、企業の成長のみにベットする投資法であり、割高になろうが構わず、保有をしつづけ、投資を終えるのは、成長が鈍化したときのみである。

Amazonなどごく選ばれた銘柄は、人々の想像を超えて、長期間、高成長をつづけ、また、割高であることが許容され続ける。これにベットするわけである。

最近では、ネットフリックス、エヌディビア、メルカリなんかも、それに類する銘柄だ。

これらの銘柄は、一般には成長が長期間続くが、それはなぜか。

それは、いまだ顕在化されていない膨大な市場があり、そこに大胆な投資をするからである。通常の経営者は、身の丈にあった投資をする。つまり、利益をそこそこ確保しつつ投資を行う。しかしアマゾン型経営では、創業者はいまだ顕在化されていない膨大な市場があると感じているため、身の丈に合わない大胆な投資をするのである。

身の丈にあった投資では、まどろっこしく、機会損失であると感じてしまうのである。
そして、往々にして投資が先行するため、利益は後回しになり、高PERとなりがちである。

では、なぜ高PERが許容されるのか。

それは、創業者が感じているいまだ顕在化されていない膨大な市場を強い確度でもって、市場が確信しているためである。

株価は、将来配当(または配当の原資)を割り引いたものであるので、現在の利益、成長性、その成長の確度で図られるべきであるが、その高PERは、現在の利益、成長性では合理的に説明できない。その高PERは、その成長性の確度をもって正当化するのである。つまり、成長シナリオのリスクが少ないため、(遠い将来の利益も織り込むことができるので)高PERが許容されるのである。

このような高成長企業は、リスクが高いと思われるかもしれないが、それは誤解である。あたらしく市場を開拓しているこのような銘柄は、高成長と低リスクが同居するのである。


このような銘柄は、夢がみれないと、投資はできない。夢があるから、積極的に投資して利益が後回しになっても許容できるし、高PERでもその成長の確度を鑑みると妥当と考えられるのである。

割安成長株などの指標に縛られているようでは、このような投資できない。このような銘柄の見極めは、なにより経営者のビジョン及びその成長意欲が重要である。

このような銘柄は、ヴァリエーションは、厳密にやるのはなかなか難しいが、PEGレシオ、業種にもよるがPSRくらいは見ておいたほうが良いであろう。

 

④バフェット株

この投資法も、投資行動としてはグローズ株と同じくバイ・アンド・ホールドが基本である。だが、着眼点が違う。

この投資法を一言で言えば、旨味のあるビジネスをしている会社を長期保有しましょう、ということになる。

旨味のある会社をもう少し、具体的に言うと、ビジネス上の立ち位置がよく、利益率が高い会社である。よって、投資をあまりかけないでも継続的に利益が得られる、または、少ない投資でも高いリターンを得られる、ということである。要は、効率が良い会社である。

効率の高い会社であれば、その高い効率によって得られたキャッシュフローが、株主還元されるため、投資リターンが得られるではずである、という目論見である。

バフェットは、ブランドが大好きである。(アップル、コカコーラ等)ブランドとは、いわば、投資効率がよいということを追い求めた結果と解釈できる。

また、バフェットは、エコノミックモートを重視する。これは、高い投資効率の持続性を確認するための概念と解釈できるのである。

これはこれで、筋は通っている。

グロース投資は、投資された成果が実際にキャッシュになっていなくても、ユーザ数であったり、ユーザ体験等何らかのKPIに反映されていればよしとみなし、どんどん先行投資する。一方、バフェット流の場合は、できれば投資はなるべくしたくないし、するとしても最小限の投資にして、なにより株主還元を優先してほしいと考える。

この投資に関する考え方が、グロースとの大きな違いだ。

ただし、同じなのは、「株価は将来得られるであろう配当列を現在価値に割り引いたもの」という株価の定義である。

グローズがこの定義を、現在の業績×成長性×その確度と因数分解したのに対して、バフェットの場合は、現在の業績×投資効率×その確度と因数分解する。

グロース株では、一義的には成長性に力点が置かれているが、バフェット株では効率性に力点が置かれる。両者の株で、その確度という項目があるが、グロース株では、成長性の確度、バフェット株ではエコノミックモートの確度ということになる。

こうしてみると、グロース株とバフェット株では、注がれている視点の時間軸が違う。

グロース株は未来に注がれているのに対して、バフェット株はより現在に近いところにおいているイメージだ。
ちなみに、資産バリューは過去に稼いだキャッシュに着目するので、過去に視点があるといえる。

f:id:yamaimo-toshi:20180715171753p:plain

なお、この投資法の投資をおえるタイミングは、論理的には、なんらかの原因で効率性が悪くなったとき、エコノミックモートが崩れたとき、ということになる。

みるべき指標としては、営業利益率、PERである。


※ここではバフェット株にしても、グロース株にしてもやや極端に表現した。対比を明確にするためにである。バフェットも将来の見通しやEPSの成長を考慮しているし、割安を強調しているのは了解している。しかし、その本質はどこにあるのかを私なりに解釈したところでは、それは、効率性であると理解したためにこのような表現を用いたのである。

 

各投資方法の関係性

ここまで4つの投資方法を紹介したわけだが、このうち資産バリュー株、グロース株、バフェット株の3つは着眼点が全然違うので、違いはわかりやすいであろう。しかし、割安成長株はちょっとわかりにくかったかもしれない。
割安成長株は銘柄の特定の性質(大胆な投資、効率性)は必ずしも必要ではなく、成長性の割にPERが低い銘柄を買うものである。よって、かなり広い概念であるため、割安成長株であってグロース株、割安成長株であってバフェット株ということはありうる。

というより、むしろグロース株であり割安成長株、バフェット株であり割安成長株を選ぶのに越したことはない。そういった関係性にあるのである。

図式的に示すと、以下となる。

 

f:id:yamaimo-toshi:20180715171620p:plain

 

次回にその他の投資法に触れる。