やまいもの投資

風見鶏トレーダーの株式投資日記

複利的事象の面白さについて~投資の数理外伝~

今回は、下記の記事を元にしています。読んでない方は、下記の記事を読んでからだと理解が深まると思います。

yamaimo-toshi.hatenablog.com

 

複利的な事象は金融商品だけじゃない

先日、長期投資の議論をするときに、期待リターンR、標準偏差σの金融商品があった場合、そのリターンは正規分布にならずに、対数正規分布になるよ、という話をした。
その際は、この事象の意味するところを、投資のリターンにしぼってお話したので、その事象の味わい深いところを存分に味わっていただけなかったと思う。

 

ここでは、投資の数理の外伝的に、この味わい深い事象を吟味していこうと思う。(今回はちょっと投資には関係ないネタです。)

さて、期待リターンR、標準偏差σの金融商品と物事を金融商品にしぼってお話したが、この期待リターンR、標準偏差σという事象をを抽象化してみよう。

期待リターンR、標準偏差σな事象とは、「一定期間の出力が、次の入力となってそれが一定のブレをもって繰り返されていく事象」と捉えることができる。

これって多くの事象に適用できるのではないだろうか。

例えば、人の能力。

人の能力も現時点の能力が次の能力を開発し、一定のぶれをもって繰り返されていくと考えることができる。

つまり、複利的事象と捉えることができるのではないか、と。そんなことを考えながら、日本人の年収の階層分布(統計元:国税庁 民間給与実態統計調査結果)を眺めてみた。

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これって、どこかでみたグラフとにてるよね。


そうそう、対数正規分布

 

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これの意味するところは

・やっぱ、人の能力は複利的な事象である

となるのではないだろうか。

それから、
人の給与(年収)は、おおよそ能力と比例する

そんな仮説が出てくるのである。

もちろん、お金がなくたってすごい人はいっぱいいるので乱暴が議論であることは確かだ。しかし、すくなくとも、この能力をお金を稼ぐ能力とよみえてみれば、だいたい正しそうだ。つまり、お金を稼ぐ能力は複利的な事象といえそうだ。

ちょっと細かいけど、女性のほうがより対数分布的で、男性のほうが不自然である。

これって、もしかする社会制度や社会的な常識などで自然な分布が歪められているのでは?つまり、女性のほうが実力主義で給与をもらっている、といるかもしれない。

そんなことまで、想像できてしまって楽しいグラフである。


ここからはやや脱線である。


一部で、収入の格差を問題視する議論があるが、もし、お金を稼ぐ能力が複利的な事象
であるとすれば、複利的に事象の性質として、格差がでて当然ということになるだろう。複利的事象は、一人の飛び抜けたパフォーマンスが、その他大勢のうまくいかない人たちを補うのであった。

格差がでるのは、実力主義を貫いている結果とも見ることができるのである。

 

人の能力が複利的な事象であることの意味

さて、人の能力一般が、複利的事象であるという仮説、賛否はあろうが、これが事実だとする。
それが事実だったとし、我々が留意しないければいけないことはなんだろうか?

・普通の能力は、だいたい平均以下である。(最頻値は、平均値より下がるためである。)
  要は多くの能力においては、平均以下であることを諦念せよ、ということだ。

・しかしある能力については、(複利的に)伸ばしていくことができるので、ある特定領域でその他大勢を大きく引き離して、天才的といった領域に達する可能性がある。

 

私は、この事象自体を基本的にはポジティブにとらえていきたいなと思う。

基本的には凡庸であっても、一分野で突然才能が花開く可能性があるのだから。