やまいもの投資

風見鶏トレーダーの株式投資日記

全天候型投機家への転身

10/26にほぼノーポジにして、しばしのリフレッシュ期間を経て、今週の月曜日から気分一新、新しい手法で取り組み始めた。
そして思うところもたくさんあった。その思うところをここに展開してみたい。

まず10/26の撤退に関して。端的にいうと自らの投資哲学や手法といったものが、自分のメンタルでは昨今の相場の動きに耐えきれなかったという総括になろう。
つまり自分のメンタルでは無理があったということだ。

●これまでの自分の手法とその限界
これまでの自分の手法は、グロース株の中長期投資であった。具体的には、需要・成長性・ビジネスモデル・革新性などを勘案し自分が良いと思う銘柄を、高くないところで仕込み、決算ごとに業績をチェックして許容範囲内であればずっと保有。そして割高になったところで売るというものだ。

こうすれば最低業績の伸び程度は儲かるだろうという目論見だ。あわよくば、株価の水準訂正も狙えるのでとても合理的な投資方法に映る。

しかし、だ。

実際はそうはならなかった。

確かに2017年は半分くらいはこの考えで結果がでた。しかし2018年になってかは3回ほど決算シーズンがあったがどうも様子が違った。
2月の決算は自分の保有株については業績はちゃんとでていた。その割に売られるなと言う感じだった。
8月の決算はだいぶ様子がちがい頼みの業績が伴わないことが多かった。投資を始めるタイミングでビジネスモデルなどを検討し優秀だと判断した銘柄が、である。
数字でいうと業績が伴わなかったのは半分近くに上ったように思う。(自分目線ではあるがこれまでは8割り程度は業績的にはOKだった。)
そして11月の決算である。10/26に撤退しているのでほとんどポジションがない状態であったが自分の保有していた銘柄は壊滅的だった。半分以下の会社しか業績的にOKを出せない状況であった。

このような状況だったため当然銘柄をころころ入れ替えた。よって長期的に保有してその成長をとるというスタイルは全く威力を発揮できなかった。

これまでの手法はINするタイミングで精査した優秀は銘柄は株価が崩れることはあっても、業績はよいのが前提であったがそのような前提は成り立たなかったことになる。少なくともそのような会社見つけるのはそんなに簡単ではないということはわかった。ここに無理があったわけだ。

そして銘柄をころころ入れ替えることになるのだが、これだと業績を中心としたファンダを投資判断にすえるというのはチグハグである。あくまでも業績に株価が沿うのは長期的に見た場合であり、より短期になれば、短期的な需給やマクロの影響が大きくなるのは自明だ。


もうひとつ自分のスタイルの弱点が露呈した形となったのは、グローバルマクロ影響の軽視である。

もとよりマクロの状況特に中央銀行の影響は、株式投資においてとても影響が大きいとは認識しつつも、敢えて投資をシンプルにするため、大規模な金融収縮が起きない限り撤退はしない方針でいた。

この方針のために今回大きな痛手を受けたことは否めない。

この方針はいわば木だけをみて投資をしろということだが、ふと周りの森を見回すと、山火事が燃えさかっていた、と。そんな感じだったように思う。

市場で生き残っていくには森もみる必要性を痛感した。投資における複雑さも受け入れざるを得ないということである。


●森の状況

そしてショックがおこってからではあったが、あわててあたりをきょりょきょろしてみて以下のことがわかった。

まずはFRBの動向として金利を上げているという事実。十年国債の利回りもあがってきているがおそらく12月あたりにもう一度上げるだろう。
第2にFRBがバランスシートの縮小を継続していること。アベノミクスを見るまでもなく金融緩和でこれだけ上げたのだから、逆のことをして上げ続ける道理も無かろうというロジックは説得力があろう。

これらの結果、実際にリスク高い新興国のチャートから崩れ始めており、10月にはいよいよアメリカ株までくずれる兆候をみせた。昨今のボラの大きさも危機の前兆とうつる。貿易戦争もあり中国の景気はしばらくよくならないだろう。
また、原油安→ハイイールド債のデフォルトリスク拡大→ショック発生 なども危機のトリガーとしては一つ考えられることだろう。
他にも思いもよらぬところでトリガーを引く可能性はあるだろう。というより予想されているところより思いもよらないところのうがよりショックは大きく長引くであろう。

 

●一週間の戦果

このような認識のもと、ニュースタイルに脱皮すべく今週の月曜日から少ない資金でいくつか手法を試してみた。

①指数の空売り
 上記の相場観にベットするための手法である。数週間から半年程度の時間軸で見ている。枚数は少ないもののいまのところ少しばかりの益はでている。

②個別の空売り
 ちょうど決算シーズンであったので悪材料がでた銘柄や期待先行で上がりすぎていると判断した銘柄をいくつか空売りしてみた。これは1日長くても1,2週間程度の時間軸で考えている。
 結果は6銘柄トライして3勝0負。2銘柄は指値にかからず未エントリー。1銘柄はまだ買い戻していないが含み益は出ているという状況で一応結果は出た形だ。
お世辞にも銘柄選択が優れていたとは思われないが地合いが良かったのであろう。

 

●今後の方針

 このショックや今週の試運転で学んだことは、形勢判断(地合いの判断)が、個別銘柄分析を(少なくとも短期的には)凌駕することうことだ。
 よってこれからは投資においては形勢判断(地合いの判断)を一丁目一番地とし、その形勢にあった手法を組み合わせてバランスを取っていく手法としたいと思う。
これにより全天候型の投機家を目指すということである。

現在の形勢判断としては、10年続いた上昇相場が終焉を迎えて今後下落相場に入っていくか(ハードランディングシナリオ)、しばしの停滞期間(ソフトランディングシナリオ)にはいったとの認識である。
 
ハードランディングシナリオの警戒しつつ方向感が出るまでは雌伏のときであると判断したい。ただしハードランディングシナリオが具現するときは一定の利益が望めるようにとの組み立てで相場に対峙する方針である。

具体的にはハードランディングシナリオ用に指数のショート(中期目線)とVIX投資を組み合わせる。加えて決算など値動きがでるタイミングでの個別銘柄の短期スイングを考えている。

買いはしないわけではない。依然として長い時間軸であればロングも有望であると考える。この場合より長いスパンで有効であり続けるシナリオの物が良いであろう。
例えば骨太のビジョンをもったグロースはその候補となりうる。

まとめると以下のようになる。

 長期:個別買い
 中期:指数売り、VIX売り
 短期:個別売り、VIX買い

 

こういった手法だとそれほどパフォーマンスは期待できない。雌伏期であると割り切って次の上昇相場に備えることにしたい。