2018年9月の結果
●2018年9月の結果
年初来 +19.2%
日本株:+9.0%
外国株:+28.0%
月初来 +2.9%
日本株:+6.2%
外国株:+0.8%
●保有銘柄(日本株)
JIA
イーレックス
三機サービス
eBase
ピーバン
アイスタディ
手間いらず
応用技術
F&M
ITFOR
ラクスル
ERIHD
アイケイ
MTG
建設技術研究所
RPAホールディングス
その他少々
・IN:
ITFOR
ラクスル
ERIHD
アイケイ(再IN)
MTG
建設技術研究所
RPAホールディングス
・OUT:
マクロミル
リミックス
●保有銘柄(外国株)
GOOGL
AMZN
NVDA
BABA
ADBE
INTU
NOW
FB
ZUO
BA
FISV
・IN:
ZS
●2018年9月の総括
今月は日本株のパフォーマンスが良かった。新しく買い付けた銘柄で急騰したものがあったので、ラッキーパンチがあたった印象である。応用技術、ラクスル辺りだ。
一方で外国株は、BABA、ZUOといった問題児を抱えている関係で、それほど伸びなかった。
BABAに関して、まさかのジャックマーの引退の発表があった。
ジャックマーの手腕には絶大なる信頼を寄せていたので売ろうか思ったが、
NewRetailをポジティブに見ているところもあり大いに迷った。
結局、1/3だけ売ることにした。
ZUOについては、途中経過はあまり気にしていない。成長が鈍化していないことを決算ごとに確認しながら、あとは放置の方針である。
新規で買い付けた銘柄についてコメントしておく。
今月は大幅なPFの入れ替えを行った。8月の(日本株の)惨敗を反省して、以下のようなテーマ設定を行った。
・ディフェンシブシフト(高PER戦略)
・ビジネスモデルの良い銘柄から需要のある銘柄へ
・人手不足が優位に働く銘柄へ
・ITFOR
SI系の中でも比較的優良企業であり、改正割賦販売法対応iRitspay、総務省導入のRPAなど楽しみなテーマ性を抱えていることから、面白い存在である。多数のパッケージも抱えており骨のあるSIerとの評価である。
・ラクスル
経営者がビジョナリーであることに加えて投資家の質が良さそうだ。自分もサービスを使って実感しているが、印刷から集客までのワンストップニーズを満たすサービスは革新的といってよいであろう。
・ERIHD
宅建法改正によるインスペクションの拡大、M&Aした住宅性能評価センターが通期で寄与すること、省エネ法改正に基づく省エネ適判業務の拡大あたりが追い風になろう。
・MTG
会社には品格というものがある。こういった品格をもった会社への投資には特に理由はいらない。その気高さだけで十分投資に値する。
・建設技術研究所
建設コンサルタント老舗である。防災コンサルが時勢を得ている。M&A子会社の通期寄与もある。現金もたくさん持っている(時価総額240億なのに170臆も現金を持っている)。
・RPAホールディングス
人手不足といったテーマ性に沿った戦略的投資。RPAって良いと思うんだよね。多額の投資がいらず、システム変更だの人の採用だの根本解決がいらず小手先の対応で済むため優柔不断な会社にとってはもってこい?なんて思ってて。株主にもソフトバンク、ベクトル西江氏と重鎮が名を連ねており、経営者の毛並みの良さを感じさせることも高評価だ。
・ZS
セキュリティをクラウドで提供するSaaS企業。まず、製品が画期的で、時流に乗るということだ。やっていることは単純。インターネットトラフィックを(Web、メール)、Zscalar経由にして、そこでウィルス等のマルウェア対策 であったり、情報漏えい対策であったりをするとうことだ。Office365の爆発的な伸びも追い風だろう。あまりにも質の良い事業だが、株価はあまりにも高い。
高PER銘柄への投資について
高PER銘柄への投資は一見、割に合わない投資に見える。
なぜなら、水準訂正が狙えないからである。
そう思ってこれまで、高PER銘柄はあまり手を出してこなかったのであるが、最近そんなに悪いことばかりではないと思うようになってきた。
というのも、とある実験をしておりまして。
その実験とは、ビジネスモデルはとてもよいが少々PERが高いため見送っていた銘柄群を、仮に買ったとしてその後のパフォーマンスを監視するというもの。
買った銘柄は、3902メディカル・データ・ビジョン、2492インフォマート、 6058ベクトル、6099エランである。
昨年の5/3に買ってずっと持ち続けていたとすると、現時点で+67%のパフォーマンスである。それぞれのパフォーマンスは以下のとおりである。
3902メディカル・データ・ビジョン 52.57%
2492インフォマート 64.52%
6058ベクトル 43.57%
6099エラン 108.82%
パフォマンスの数字自体は、確かによいが昨年末の上げ相場のことを考えると特質するようなものではないかもしれない。
しかし、上昇するタイミングをみてほしい。多くの銘柄が苦戦をしはじめた今年の2月から上昇している。
逆に昨年の後半のアゲアゲの時期には、ずっとヨコヨコで我慢が強いられていた。
ここから言えることとして、こんな仮説が考えられそうである。
・高PERは、投資家が長い目線で買っているのでリスクオフモードで下げにくい。
・とはいえ、マクロで買う投資家ではないので、全体の上げ相場では苦戦する。
少ないサンプルで多少一般化し過ぎのような気もするが、クオリティの高い成長株は、比較的にディフェンシブといえるのではないだろうか。
ということで、①成長性が劣化しないこと、②足の長い投資家の存在、③ビジネスモデルの筋の良さ、などクオリティが高いことが前提であるが、PFの一部として組み入れるのも悪くないとの判断である。
2018年8月の結果
●2018年8月の結果
年初来 +15.8%
日本株:+2.6%
外国株:+26.9%
月初来 +4.8%
日本株:-2.7%
外国株:+10.1%
●保有銘柄(日本株)
JIA
イーレックス
三機サービス
eBase
ピーバン
アイスタディ
手間いらず
リミックス
マクロミル
応用技術
F&M
その他少々
IN: 応用技術、F&M
OUT: タイセイ、イントラスト、フリークアウト、シェアテク、日本リビング保証
●保有銘柄(外国株)
GOOGL
AMZN
NVDA
BABA
ADBE
INTU
NOW
FB
ZUO
BA
FISV
IN:FISV
OUT:テンセント
●2018年8月の総括
ざっくりとした評価としては、凡庸な結果、である。
が、外国株と日本株の乖離が激しいということもあり、なかなか考えさせられる結果である。
まず端的にいうと、日本株が今月はひどかったということだ。
業績がよいのに株価がさげているということなら、それはいつものことであり、その歪みの大きさが私が日本株をやる理由であったわけで、取り立てて考えさせられる状況ではない。しかし、8月の決算では持ち株は、業績面で殆どは満足のいく結果を残せていなかった。
自身の投資の根幹である銘柄選定の実力不足を露呈した格好であり、大いに反省しないといけないと考えている。
利がのった銘柄を処分したことで、キャッシュが増えてきてしまった。
方針としては、フルインベストメントなので、どこかに投資したいとは思うが、焦って投資してもしかたがなので、良い銘柄にであうまでは焦らずにやっていきたいと思う。
とはいえ、日本株はイマイチ感覚にフィットする銘柄出てこないし、外国株もSaaS関連はかなり上がってしまっている。なやましいところだ。
今月INした銘柄にコメントしておこう。
・応用技術
上方修正発表&好決算(100%近い増益)とともに売られた銘柄である。
先日好決算を発表したAutoDeskの関連であったり、防災関連であったりと、特色のあるソフトウェア会社だ。
業績もよいので、しばらくすれば高値を抜いてくるのではないか期待している。
・F&M
ここは、また別途記事にする予定。
・FISV
ここは(アメリカの)地方銀行に対して、さまざまなツールを提供している会社で、銀行の内部まで深く入っているため、ほとんど解約がない。とはいえ、大きな成長分野でないことは確かで、ここ近年ほとんど成長しない。
しかし、営業利益率25%と、高効率であり、怒涛の自社株買い(10年で1/3減らした。)でもって、EPSは高成長であるという銘柄である。すこし面白い存在なので買ってみた。
アリババ~不出世のビジョナリー~
今回はアリババについて語りたいと思う。
先日アリババの3Q決算があった。
60%増収、40%減収である。
この数字だけ見れば、よいとは言えないかもしれない。
また、貿易戦争の影響もあってか中国株全体が不調であり、アリババも6/15の直近高値211.70から、174.23へ、20%程度調整している。加えて、ここ半年くらいずっとヨコヨコであり、自身の外国株のPFのなかでも、足を引っ張る存在である。
しかし、まったくもって売る気はみじんも感じないのである。
なぜか。
端的言えば、自分の中では同銘柄は10年10倍銘柄と認識しているが、その認識を変えるだけの異変を感じていないからだ。というより逆に、期待にのほうが大きいといったところが素直な感情だ。
以下にもう少しゆっくりと説明したいと思う。
銘柄に惚れるなという言葉はあるが、この銘柄だけは、もしかすると惚れているとなるかもしれない。そう思わせる銘柄である。
私は、3つの投資法(割安成長株、バフェット株、ビジョナリー株)を組み合わせて使っており、それぞれ面白さはあるが、ビジョナリー株がもっとも楽しさのある投資法だ。ロマンを感じる、投資家冥利に尽きるといった感じがするのである。
ちなみに、10年10倍銘柄というと、すごいと思われるかもれないけど、年換算すると26%くらいなので大したことはない。しかも、10年という時間的コストを支払っているわけで、割の良い投資といえないかもしれない。
しかし、自分も男子なのだ。ロマンを感じるとやや理性のネジが緩むのだ。そこが甘いと言われれば甘いのであろう。しかし、そうゆうふうに人間ができているのだから仕方がない。
前置きが長くなったが、アリババについて自分なりの理解を書いてみたい。
●アリババとはなにか
アリババの本質とはなにか?
私が理解したところによれば、
「世界中からやりにくいビジネスをなくす」
である。これが目的である。
数々の電子商取引のビジネス(Alibaba.com、タオバオ、TMall)、アリペイ、アントフィナンシャルのゴマクレジッド、アリババクラウド等々は、その為の手段である。
「世界中からやりにくいビジネスをなくす」
如何にも、壮大なテーマである。こういった壮大なテーマだと、商売の種は無限である。尽きせぬ泉である。
もうひとつ理解しないといけないのは、ジャックマーという人物が、根っからのプラットフォーマー思考の持ち主であるということだ。
ジャックマーはAlibaba設立当初以下のように述べている。
「中小企業が本当に儲かるようにしたい。中小企業に後継者が大勢現れるようにしたい。わが国には十三、四億の人口がいる。 20 年後にはさまざまな理由で失業者も多くなっているだろう。電子商取引で、たくさんの人の就業の後押しをしたい。就業の機会があれば、社会が安定し、家庭が安定し、ビジネスが発展する。私は、企業は社会的な責任を負い、その責任を仕事の中で貫くべきだと考えている。自分たちの責任を果たし、この社会の発展を後押ししていきたい」
これが原点であろう。
既存の企業を破壊するのではなく、中小企業の商売をやりやすくするというところに力点がある。商売をやりやすくするとは、すなわち、プラットフォームを開発し、それを使ってもらうということにほかならない。
アリババ自身は、自分で商売(小売)することには興味がない。最近、百貨店の株を持ったようであるが、百貨店に興味があるのではなく、百貨店の商売がうまくいくモデルを作り上げて、そのプラットフォームを他社に展開することを狙ってのことだろう。
プラットフォームとは、単に自身が肥え太ることを意味しない。自身が肥え太ることもあるかもしれないが、それはあくまで結果で、全体がうまく回るように経済をつくることを意味するのだ。
●アリババの偉業
このような思想をもった企業であると理解すると、これまでアリババがたどってきた経緯が理解しやすい。
Alibaba.com
言わずとしれたB2B電子商取引サイトである。これにより、中国全土の中小企業に対して、グローバルな市場へのアクセスを提供する。
タオバオ・Alipay
タオバオはC2C電子商取引サイトだが、問題は、商品の決済。
個人間取引なので、買い手としてはちゃんとした商品が不安。売り手としてもちゃんと支払いがあるか不安。
これを解消するために、一旦、アリババが買い手から代金を預かってから、売りてが商品を発送し、買い手がちゃん商品を受け取ったことを確認してから、アリババ売り手に代金を支払うという仕組み。
また、アリペイには銀行の代替といった側面もある。
当初、クレジットカードが普及していないため決済手段は銀行振込だった。銀行振込だと手数料はかかるし、振込処理に時間はかかるし、面倒ですよね。
このためジャックマーは、銀行に何度も改善してくれるように働きかけたようだが、銀行はアリババを相手にせず、なにも変えようとしなかった。
そこで、「銀行が自ら変わろうとしないのであれば、私たちが銀行を変えてみせる」と宣言してアリペイを始めたという。
現在に至っては、アリペイは中国国民の主要な決済手段であることはもちろん、MMFである余額宝の25.7兆円ほどで、世界最大のMMFとなっている。こうなると、もう銀行だよね。アリババ自身が。
余額宝では、銀行預金より利率がよいため、リアルに「銀行いらなくねぇ」だろう。(日本も早くそうなってほしいものだ。)
ちなみにアリペイが広がった背景には、店側の端末などの初期コストが全くいらないのに加えて、決済手数料ゼロだ。但し、顧客側に対しては、銀行振り込みに際しては、手数料を0.1%取るようだ。もちろん原価はもっとかかっていると思われるので、その分はアリババの持ち出しだ。しかし、アリババは消費者金融機能であったり、公共機関への支払いなどには手数料をとっており、それでも十分な収益が上げられる仕組みになっている。(もちろんアプリの広告費もある。)。しかし、そもそも「銀行いらなくねぇ」なので、銀行への振込事態も急速に少なくなっているだろう。
芝麻信用(ゴマクレジット)
アリペイでの支払い状況などから信用度を算出するサービスである。これにはSNSの交友範囲や付帯サービスの利用状況なども加味されるようだ。これのすごいところは、これは消費者一般のマナーを改善してしまったことだ。芝麻信用のスコアがわるければ、就職や結婚にも影響するだろうし、当然、各種企業から提供されるサービスの範囲も限定されてしまう。そりゃ、マナーも良くなるよね。
サービスが限定される例としてはこんなのがある。アリババは自動車の自販機(無人)をローンチしているが、これが芝麻信用と関係が深い。まず、これは一定の芝麻信用のスコア以上でないと利用できない。また、ローンの金利にもスコアが影響してくるように設計されている。こうして、自動車の購入が芝麻信用と組み合わせることにより、本当に無人で自動販売できてしまうのである。
どうだろうか、いろいろ見てきたが、本当に「世界中からやりにくいビジネスをなくす」をやっているのではないだろうか。
それによって、中国人に商売のもっとも重要なインフラである「信」を整備してしまったのだから、本当にすごいた思う。すくなくとも、アリババは中国を10年くらいは先に進めてしまったのではないかと思う。
●NewRetail
ここまでは、ここまでのアリババの話で、今後のアリババの展望がわからなければ、投資判断はできない。
まず絶対に理解しないといけないのは、NewRetailである。
前提知識として、中国のオンライン率は15%である。つまり、85%はオフラインなのである。このに攻め入るというか、ここに狙いを定めるのがNewRetailである。
NewRetailを知るには、抽象的な言葉をあやつるより、まずは具体例を見てみるのがよい。
盒馬鲜生(ファーマーションシェン)
盒馬鲜生(ファーマーションシェン)である。
簡単に言うと、レストラン付きのスーパーなのだが、ECも兼ねていて半径3キロから5キロ以内であれば30分で配達するというのである。
要は、レストランとスーパーとECと倉庫と物流機能をもつ、何者かである。
このようにさらっと説明すると、なにがすごいのかわからないかもしれない。
しかし、いち消費者として考えてみるとなるほど便利だとわかる。
店舗にいくと、いきなり水槽にロブスターとかがおり、それがその場で調理してもらえる。これは楽しそうだ。
店舗にいくのは、ひとつにはいくと楽しいからである。
そして、店内をみていくって欲しいものがあったとする。そうすると、まずは商品の横についているバーコードをスマホでスキャンする。
スキャンすると、Tmallのサイトと連携し、口コミで評判のよい商品であるかどうかその場でわかるのである。
そして、その商品をすぐ使いたかったら、かごに入れて買えばよいし、重かったり、すぐ使わないものは届けてもらうことにする。
届けてもらうものは、店内の商品を店員がピックアップして袋につめて天井のベルトコンベアーみたいなやつで、すぐに配送部隊へと回される。
もちろん面倒であれば、家にいながらにECで注文しても良い。一度店舗で実物をみているので、ものは知っているので安心だ。
なお、価格はEタグという技術を用いて、ネットと店舗では同じになるようにリアルタイムで調整されている。このため、ネットのほうが安いかもといった店舗での買い控えが抑制されることになる。
なかなか便利だ。
さらに、店舗側としてもビックデータをもちいた効率化が図られている。
店の近くに住む人のECでの購入履歴から、どのような商品が売れ筋かどうか把握して仕入れるのである。したがって、店舗としては大変効率が良い。
仕入れる品は生鮮食料品でるためきめ細かく在庫を補充する必要があるが、そこはもちろんアリババが長年培ってきた物量網が生きることとなる。
この結果、通常の1平方メートルあたり年間で1.5万元ほどの売り上げが、この盒馬鲜生(ファーマーションシェン)は6万元ほど売り上げるという。およそ4倍である。
どうだろうか。一つ一つは部分は割と想像しやすい、しかし、要素要素がうまく組み合わせることに、消費者にとっては、理想のショッピング体験をもたらしているのではないだろうか。
それと同時に、店舗側としてもおよそ4倍の売上を達成できるのだ。満足の行く数字といって良いと思う。
なお、すでに30店舗ほど展開済みで、フランチャイズ化も視野に入っている模様。
(2016年末に初めてNewRetailという言葉がでてから、すでにフランチャイズというのだから、その展開の速さは目を見張る物がある。
天猫维军超市(Tmallスマートコンビニ)
もう一つの事例を紹介しよう。
天猫维军超市(Tmallスマートコンビニ)である。
これは簡単にいうとアリババのビックデータをもちいた自動仕入れをもちいたスマートコンビニであるが、もうすこし、詳しく見ていこう。
まずは、店舗の近隣の住人が通勤者なのか通学者なのかどういったコミュニティに属しているかなどの属性分析を行う。
そして、それらの人がオンラインでどのような購入履歴を持つかを調べることで、近隣地域にどのようなニーズが或るか抑える。
次に、店舗の属性、オーナ、従業員の数、店舗の広さ等を調べる。
そして、地域のニーズと店舗の属性に応じて、商品の仕入れを行うのである。
中国にはこのような個人店が600万店ほどあるそうだが、それらの個人店に情報武装させて戦える状態まで引き上げようとする試みだ。
ちなみに、それによって売上が45%ほどあがったというのだから驚きだ。
なお、このような店舗に、アリババがネットで販売する保険商品や利用商品なども販売する予定だそうだ。こうなると、アリババのリアル取次店といった趣を帯びてくる。
どうだろうか、NewRetailの雰囲気がつかめたであろうか、他にも事例はあるが、ざっくりまとめると、以下のようになる。
・データを用いた仕入れのスマート化
・店舗のエンターテインメント化
・(消費者からみた)オンラインとオフラインの最適化
・執拗なまでの物流の高品質化
このようなことをプラットフォオームとして提供しようということだ、これにより85%へのアクセスしてくのだが、十分アクセス可能だと思うがどうだろうか。
●eWTP(世界電子貿易プラットフォーム)
もうひとつ抑えておかないといけないのは、eWTP(世界電子貿易プラットフォーム)である。
eWTP(世界電子貿易プラットフォーム)とは、簡単に言うと、電子商取引の国際ルールをつくって、国際貿易の恩恵を受けていいない中小企業が、そのメリットを享受できるようにしましょ、ということだ。
多分に政治的な感じがするが、このジャックマーというのはどうやら相当政治的なイシューは得意であるようで、中国共産党とも関係は良いと聞くし、
マレーシアやインドネシアでは政府顧問に就任している。
具体的な動きとしては、まずは特区をつくって、そこでは自由に貿易できるようにしましょ、という計画のようだ。(マレーシアではすでに進んでいる)
狙いであるが、これはアリババ経済圏を東南アジアまで広げようという試みとみてよいであろう。
ジャックマーはいちいち言うことがでかいのだが、このeWTPは、ジャックマーの発言「将来は一億人を雇用し20億人の消費者をまとめる世界5位の経済圏を目指す。米国、中国、欧州、日本、そしてアリババだ」
の発言と整合的である。
また、東南アジア最大のECであるLazadaも傘下に収めている。
本気で目指していいると見てよいであろう。NewRetailが5年10年単位の構想であるとすると、このeWTPは、10年20年単位の構想になるのではないかと感じる。
●コングロマリットディスカウント
ここまでは、割と良いことばかりを書いてきた。
しかし、良い面ばかりではない。ここからはネガティブな点をかこう。
①強力なライバル→競争激化
アリババは、独占といってもよい領域はほどんどない。ほぼ全面的にテンセント・JD陣営と競合している。それが競争激化を生んでいることは否定できない。
先に紹介したNewRetailもテンセント陣営も盒馬鲜生コピー店舗を作っており、競争は激化している考えたほうが良い。
特に、ECの領域はJCやPinduoduo(拼多多)はWeChatとの相性もよく強敵だ。ある程度は削られることは計算に入れたほうが良いだろう。
②コングロマリットディスカウント
百貨店やショッピングモールの株を買ったりと、EC企業、テクノロジー企業じゃなかったんかい?ってなツッコミは当然あって、その結果が減益、なめとんのかい?、といわれると立つ瀬が無い。
そうなると、当然コングラマリットディスカウントされても文句はいえない。このマイナス分は考慮したほうが良いだろう。
(私から言わせれば、そりゃプラットフォーマーとしてのコミットメントであって、やりたいのは小売じゃないんだよと叫びたいのは、ホルダーバイアスであって、ホルダーじゃないひとからみれば、GEとなにが違うのじゃという感じだろう。)
③中国企業
共産党との関係がよいといったって、共産党に都合が悪ければ、速攻、アリババを潰しにくることは容易に想像できる。中国経済を犠牲にしてでも、共産党の党利優先するのは当然だ。そういった点は、常にリスクはある。
こういった様々なネガティブな面を考慮に入れても、①NewRetail、eWPTなど魅力的すぎるジャックマーのビジョン、②これまで築きあげてきたデータとテクノロジーと顧客接点の堀、③Forward PER 23.03のヴァリエーション。
総合的に考えて、ポジティブだとの判断である。
複利的事象の面白さについて~投資の数理外伝~
今回は、下記の記事を元にしています。読んでない方は、下記の記事を読んでからだと理解が深まると思います。
複利的な事象は金融商品だけじゃない
先日、長期投資の議論をするときに、期待リターンR、標準偏差σの金融商品があった場合、そのリターンは正規分布にならずに、対数正規分布になるよ、という話をした。
その際は、この事象の意味するところを、投資のリターンにしぼってお話したので、その事象の味わい深いところを存分に味わっていただけなかったと思う。
ここでは、投資の数理の外伝的に、この味わい深い事象を吟味していこうと思う。(今回はちょっと投資には関係ないネタです。)
さて、期待リターンR、標準偏差σの金融商品と物事を金融商品にしぼってお話したが、この期待リターンR、標準偏差σという事象をを抽象化してみよう。
期待リターンR、標準偏差σな事象とは、「一定期間の出力が、次の入力となってそれが一定のブレをもって繰り返されていく事象」と捉えることができる。
これって多くの事象に適用できるのではないだろうか。
例えば、人の能力。
人の能力も現時点の能力が次の能力を開発し、一定のぶれをもって繰り返されていくと考えることができる。
つまり、複利的事象と捉えることができるのではないか、と。そんなことを考えながら、日本人の年収の階層分布(統計元:国税庁 民間給与実態統計調査結果)を眺めてみた。
これって、どこかでみたグラフとにてるよね。
そうそう、対数正規分布。
これの意味するところは
・やっぱ、人の能力は複利的な事象である
となるのではないだろうか。
それから、
・人の給与(年収)は、おおよそ能力と比例する
そんな仮説が出てくるのである。
もちろん、お金がなくたってすごい人はいっぱいいるので乱暴が議論であることは確かだ。しかし、すくなくとも、この能力をお金を稼ぐ能力とよみえてみれば、だいたい正しそうだ。つまり、お金を稼ぐ能力は複利的な事象といえそうだ。
ちょっと細かいけど、女性のほうがより対数分布的で、男性のほうが不自然である。
これって、もしかする社会制度や社会的な常識などで自然な分布が歪められているのでは?つまり、女性のほうが実力主義で給与をもらっている、といるかもしれない。
そんなことまで、想像できてしまって楽しいグラフである。
ここからはやや脱線である。
一部で、収入の格差を問題視する議論があるが、もし、お金を稼ぐ能力が複利的な事象
であるとすれば、複利的に事象の性質として、格差がでて当然ということになるだろう。複利的事象は、一人の飛び抜けたパフォーマンスが、その他大勢のうまくいかない人たちを補うのであった。
格差がでるのは、実力主義を貫いている結果とも見ることができるのである。
人の能力が複利的な事象であることの意味
さて、人の能力一般が、複利的事象であるという仮説、賛否はあろうが、これが事実だとする。
それが事実だったとし、我々が留意しないければいけないことはなんだろうか?
・普通の能力は、だいたい平均以下である。(最頻値は、平均値より下がるためである。)
要は多くの能力においては、平均以下であることを諦念せよ、ということだ。
・しかしある能力については、(複利的に)伸ばしていくことができるので、ある特定領域でその他大勢を大きく引き離して、天才的といった領域に達する可能性がある。
私は、この事象自体を基本的にはポジティブにとらえていきたいなと思う。
基本的には凡庸であっても、一分野で突然才能が花開く可能性があるのだから。
期待値だよ!期待値!
本記事は、以下の記事からの続きです。
前回議論したことを振り返っておこう。
前回の結論はこうだ。
・利回りが固定されていない金融商品は、本質的には期待リターンを得る確率は50%を超えない。
・そして、リスク(標準偏差)が高くなれば、なるとほど、期待利回りを得る確率は下がっていき、元本割れすることも十分ありうる。(最頻値がそうなることもあるのだ。)
つまり、リスクはリターンを蝕むのであるから、リスクは極力おさえるのが正しい。
それから、以下の点も確認した。
・長期投資はリスクあたりのリターンを向上させるので有望だ。
今回は、これを論破するのである。
つっこみどころは、満載であるが、最初のツッコミはこうだ。
そもそも、最頻値やら確率をみてどうすんねん、だ。
一年後の期待リターンがRならば、期待リターンRなのである。当たり前だ。最頻値(最も多くのひとのリターンが収束する値)は、Rより小さくなるかもしれないが、沢山施行すれば期待リターンに達しないケースが大半であったとしても、すべてのリターンを足して平均を取れば、期待リターンに収束するのである。
それが、期待リターンの意味である。
期待リターンに達しないのを、うまくいかない投資と定義すれば、リスクが大きいということは、うまくいかない投資が多くなることを意味するが、期待リターンが低くなるということではない。つまり、うまくいかない投資を、とてもうまく行った投資が、補い、結局はトータルで見ると期待リターンに収束するのである。
次のツッコミは、リスクの低い商品ってどうよ、だ。
リスクが低い商品は、一般的に期待リターンも小さい。
そんなジジ臭い投資してどうするんだ?という精神論ではない。
先の結論はリスクは考慮せずともよい、だった。なのでリスクが低い商品を選好する態度は、リターンをどぶに捨てることを行動様式を意味するわけでその意味で、合理性がないといっているのだ。
そして、最大のツッコミどころは、長期投資ってどうよ、だ。
先の結論は、試行回数は多いほうがよい、だ。であれば、長期投資で回数を減らすのは意味がない。長期投資がリスクを減らすのでという詭弁は、先程論破したとおり通用しない。リスクは意識する必要はないのだ。意識すべきは期待値なのだ。
それから、ここまでくればすでに議論するするに値しないと思うが、「長期投資はリスクあたりのリターンを向上させるので有望だ」についてだ。これを明確に否定しておこう。
ここで言っていることは、リスクを時間というコストをかけて、一生懸命低下させたよ、すごいでしょ、と。まあ、そう言っているわけだが、仮に100歩譲って、リスクというのが大層な価値があるものだとしよう。でも、それには、時間というコストを支払ってるでしょ、ということころがポイントだ。コストをはらっているのだから価値があって当然だ。時間効率という視点を抜きにして優位性を議論しても仕方がない。
また、こういった解釈もできる。将来の価値というのは、現在に割り引いて計算せにゃならん。したがって、将来のリスクの低下という価値は、現在に引き直せは価値は小さくなって当然だ。よって、長期投資によって得られるリスクの低下という価値は、過小評価せにゃならん、ということだ。(私の立場は、「リスクは無視せよ」、だから、価値のないものを現在に割り引いたってゼロはゼロなので議論するまでもないし、価値のないものに時間というコストを払っているのだから、滑稽ですらある。)
以上の3点(+α)より私の結論はこうだ。
・リスクは無視しろ。期待リターンだけに着目しろである。
・ただし、施行の回数を多くしないといけない。それは沢山の銘柄に投資する、または回転をあげる、ことと同義だ。
つまり、分散性&短期がよいということだ。
・留意点としては、リスクは無視することになるので、引き受けなければいけないことは、うまくいかない投資が多くなる、だ。
・うまくいかない憂鬱を引き受ける代わりに、リターンを最大化させるという修行と心得よということだ。
さて、この切れ味のするどい議論(←あれ、自分でいってるお。)の矛先が、自身の投資方法に降り掛かってきてしまっている。
自身の投資法は、中長期ファンダ派だ。
矛盾しとるだろう、ということだ。
そのとおり矛盾しているのだ。
数理的な観点では、スイングのほうがよい。ただし、それは短い時間で適切な期待値を割り出す能力があれば、という前提付きだ。
残念ながら、私にはその能力が(今の所)ない。短期での期待値を推測するには、ファンダ、ビジネスモデルなどより、人気、需給の分析のほうが重要だ。印象としては心理戦につよい必要があると感じる。ここの感性が必要であるのだが、ここは今の所、私には備わっていないようなので、いまは短期のトレードはしていない。そのかわりに、銘柄の数を増やすという次善策をとっているのである。
今回は、以下の結論を得た。
・リスクは無視しろ。期待リターンだけに着目しろ、である。
・ただし、施行の回数を多くしないといけない。それは沢山の銘柄に投資する、または回転をあげる、ことと同義だ。
つまり、分散または短期がよいということだ。
・留意点としては、リスクは無視することになるので、引き受けなければいけないことは、うまくいかない投資が多くなるということだ。
・投資とは、うまくいかない憂鬱を引き受ける代わりに、リターンを最大化させるという修行と心得よということだ。
2018年7月の結果
●2018年7月の結果
日本株
年次:+5.5%
月次:-1.0%
外国株
年次:+15.3%
月次:+0.4%
合計
年次:+10.5%
月次:-0.2%
●保有銘柄(日本株)
JIA
イーレックス
タイセイ
イントラスト
フリークアウト
三機サービス
eBase
シェアテク
ピーバン
アイスタディ
手間いらず
リミックス
マクロミル
日本リビング保証
●保有銘柄(外国株)
GOOGL
AMZN
テンセント
NVDA
BABA
ADBE
INTU
NOW
FB
ZUO
BA
●2018年7月の総括
今月は、途中までは比較的好調だったが最後に売られて全体ではマイナスとなった。
外国株は主にFANG勢、BAT勢、SaaS勢に分かれるが、FANG勢、SaaS勢が堅調を
BAT勢が食いつぶした格好だ。そして最後にはFANG勢、SaaS勢も失速してよこよこでの着地となった。
7月の新規銘柄としてBAを購入した。
BAは、航空機業界の先の見通しが良いこと、受注残がすごいところに惹かれて購入に踏み切った。2017年の売上は900億ドルほどだが、受注残は4,880億ドル。約5年分の受注残である。ほぼ、供給側の都合でもって収益をコントロールできるといっても良いのではないだろうか。売ることのリスクからほぼ開放されている稀有な存在だ。
もちろんこれだけの大企業で成熟産業である。当然大きな売上成長も難しいが、近年コスト削減もうまく行っているようで、直近の決算の増益率は46%である。
バリュエーションはPER20程度とまずまずである。フェアバリューであろう。
リスクは、当然、トランプリスクということだろう。トランプリスクといっても、あの受注残である。ここ1,2年の業績に影響を及ぼすとは思わないが、政治的な発言で株価は上下するであろう。
アメリカ株でオールドエコノミーの会社を持つのはこれが初めてだ。どんな持ち心地になるか実験という側面もある。
日本株は、マザーズ勢を中心にが厳しい。好業績ではあるがじりじりと売られる展開をシェアテク、タイセイなどでかろうじて負け幅を小さくしてる状況だ。
7月の新規銘柄として日本リビング保証を購入した。
日本リビング保証は、リンクスリサーチの下の記事に私が投資する根拠がほぼ書かれている。一番惹かれたのは立ち位置の良さだ。ハウスメーカーの協力が得られやすい立ち位置というのは美味しいポジションのように感じる。
ただ、キャッシュ・フローの観点ではとても割安であることは、理解したがその成長性がどの程度か推定するすべがなく、投資に踏み切れずにいた。ところが、インスペクションが前年比5倍(※)というのがでて、一気に投資対象になった。
(※)
中古住宅向け検査・保証サービスを2018年8月より拡充 – 日本リビング保証株式会社
この事実自体が大きく業績に寄与するところはないと思うが、そのシナジーを考えると業績への好影響が期待できると判断した。また、同社の属する市場が、とてもホットな市場であることが確認できた。競合も今後は出てくると思うが、大手住宅事業者との良好な関係性をいかして先行者利益をとれるかどうかが焦点となろう。
また、スタートトゥデイ購入したが決算を警戒して一旦落とした。
ただし、再度購入するつもりだ。